幻想的なぼかしの地、遠山に木立の風景文を染めた、塩瀬の名古屋帯です
水彩画を思わせる、味わい深い意匠が目を惹きます
生地は塩瀬独特の衣擦れの音が心地よい、やわらかな手触りの正絹です
たれ先には作家の落款があります

前柄の端にあるスレとひっかけは目立つものではありませんが、前柄の両面に見られる青い染料汚れ（Ａ）はやや濃い色目のため少し気になります
地の変色は薄く、たれ山のシミは結ぶと隠れます
ほか締め跡の筋もありますので、詳細は図と写真でご確認ください　（黒字：表、赤字：裏）

細かな傷みを気になさらなければ、まだまだ十分に着用していただけます
すっきりと粋な装いをお楽しみくださいませ

文：豊田

*おおよその地色 アイボリー